昨年12月に令和5年度税制改正が決まり、税制優遇制度【NISA(少額投資非課税制度)】が見直され、2024年1月からの新NISAの制度が大幅な改正・拡充します。
NISAがますますお得な投資になった!という感じです。しかしながら、金融庁の調査では、投資未経験者が投資を行わない理由に、「余裕資金がない」「資産運用に関する知識がない」「購入・保有することに不安を感じる」という理由があげられます。まだまだ20代30代を中心にNISAを活用していない方も多いことも事実です。
ここでは、ファイナンシャルプランナーの資格をもつ筆者が、20代30代に向けて新NISAを勧める理由3選をご紹介します。
新NISAの制度をおさらい
NISAは個人投資家を対象に2014年にスタートした株式や投資信託などの売却益や配当金が、一定の範囲内で非課税となる優遇制度のことです。2024年からの新NISAは制度を【恒久化】し非課税で保有できる期間も【無期限】となり、生涯投資額は【1800万円まで】とかなり拡大・拡充することになりました。
2023年までのNISA | 2024年1月以降 | |
制度が使える期間 | つみたて 2042年まで | 恒久化 |
一般 2023年まで | ||
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
120万円 | 240万円 | |
非課税となる生涯投資枠 | 最大800万円 | 買付残高で1800万円
(うち、成長投資枠1200万円) |
最大600万円 | ||
両者の併用 | 不可 | 可能 |
新NISAを勧める3選
超低金利時代
郵便貯金の定額貯金3年以上の利回りの推移を参考にすると、1970年代の高度成長期が終わった直後は郵便貯金の定額貯金は年利8%、1980年代半ばは一旦4%を割り込みますが、1980年代末にバブル経済で再び利率が上がり、1990年には6.33%まで上がりました。
約20年の間に高金利の時代が続いたので、「投資などでお金を動かすよりも預金をしたほうが利率がいい!」と、いう時代だったのです。
しかし、バブル崩壊より1999年にはゼロ金利目前まで落ち込み、2008年のリーマン・ショック以降、預金ではお金が増えない超低金利の時代になり、現在は0.002%に至っています。(ゆうちょ銀行金利一覧より)
本来、株式や投資信託等の金融商品を購入すると、得られた利益や配当に対して20.315%の税金がかかります。NISAは、利益に税金がかからないことがメリットとして挙げられます。そこで、家計資産を貯蓄から投資に向けられるように NISA の拡充や恒久化を図ったといえます。
老後2000万円問題
金融庁では、この問題は夫婦ともに無職で老後を送った場合、毎月5.5万円不足し、年間で65万円の不足になると試算がされました。現状のまま暮らしていけば、2,000万円不足する計算となることから「老後2,000万円問題」が話題になったのです。
ここでは、年金制度については触れませんが、今後の年金制度への不安視も拭えないことが考えられるため、老後に向けた貯蓄が必要といえます。
資産所得倍増計画
2022年5月に岸田政権が打ち出し「資産所得倍増計画」とは、個人の「給料」を増やすものではなく「資産所得」を倍に増やすといった目標のもとに立てられた計画です。
この目標には、
①5年間で、NISA 総口座数(一般・つみたて)を現在の 1,700 万 から 3,400 万へと倍増させることを目指して制度整備を図り、投資経験者の倍増を目指すこと。
②5年間で、NISA 買付額を現在の 28 兆円 から 56 兆円へと倍増させ、その後は家計による投資額(株式・投資信託・債券等の合計残高)の倍増を目指します。
これらの目標の達成を通じて、中間層を中心とする層の安定的な資産形成を実現するため、資産運用といった収入そのものの倍増も見据えて政策対応を図るという計画です。
資産形成には株・不動産・保険などがありますが、国が資産形成を促すために「NISA」を用意した、というわけです。長く政府が掲げてきた「貯蓄から投資へ」の具体策といえます。
まとめ
20代30代に向けて、お金の不安を解消するために新NISAを勧める理由3選をお伝えしました。金利がない・給料が上がらない・物価高がまだまだ続きそうな今、先行きに不安を思う方も多いと思います。
その方々に向けて、ご自身の将来を考えるきっかけになれれば幸いです。まずは出来ることから初めてみませんか?
コメント